記事入力 : 2016/06/14 11:05
駐車違反を取り締まらない韓国、過料は免税店が肩代わり
日本では観光バスが路上で10分違法駐車すれば、問答無用でたちまち1万2000円の罰金と2点の減点だ。それが横断歩道や交差点を横切っていた場合なら、罰金は1万5000円に跳ね上がる。ちなみに減点が6点になれば1カ月の免許停止、15点になれば免許が取り消しになる。
これに対して韓国では違法駐車をした場合、それが観光バス(乗合バス)であっても罰金ではなくわずか5万ウォン(現在のレートで約4600円、以下同じ)の過料(刑罰ではない)で、しかも減点もされないため、何度違反しても免許が停止や取り消しになることはない。
取材チームが今月2日から5日まで、ソウル市内の主要な免税店とその周辺を取材したところ、ソウル市の職員や警察官が駐車違反の取り締まりをする様子は1回も目にすることができなかった。5年近くにわたり中国人観光客を乗せ、免税店に連れてくるある観光バスの運転手(62)は「駐車違反で捕まったのはこれまで2回しかない。またたとえ捕まっても免税店が過料を肩代わりしてくれるので、こちらが損することはない」と語る。
日本で免税店や土産物店などの商業施設周辺で待機する観光バスは、客がバスの出発時間に遅れた場合、まずいったんは出発する。決められた停車時間をオーバーすれば、たちまち違反で捕まるからだ。そのため運転手は時間になると取りあえず現場を離れ、近くを1周してからもう一度客を乗せに戻ってくる。
日本において商業施設周辺での車の混雑を減らすことができた大きな理由は、店側とバス会社あるいは運転手、そして警察が協力して問題の解決に取り組んだからだ。ところが韓国では免税店に対し「交通誘発負担金」なる名目の現金を徴収する以外には、これといった対策を取ってこなかった。このように誰もが問題解決から顔を背けているため、結果としてソウル市民だけが交通渋滞や混雑を甘受させられているとの指摘もある。昨年はソウル市中心部、小公洞のロッテ免税店は3億6200万ウォン(約3300万円)、奨忠洞の新羅免税店は9300万ウォン(約860万円)の負担金を納付した。
サムスン交通文化研究所のチャン・テクヨン研究員は「日本のように観光バス駐車禁止の文化を定着させるには、違法駐車に対する取り締まりを強化すると同時に、免税店や観光バス業界も問題解決に向け積極的に協力すべきだ」と指摘した。
キム・チュンリョン記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版